人工膝関節置換術 | 医療法人 啓明会 相原病院・人工関節センター・大阪府箕面市

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関節面の軟骨が削れて傷んだ部分だけを置換する人工関節で、通常は内側の半分だけをコバルト・クロム合金とポリエチレンに入れ替える手術で、基本的に全身麻酔で行っています。適応としては、内側に限局した初期の関節症が対象となり、変形が進んだ膝にすると痛みが十分取れないことがあります。この手術の最大のメリットは手術の傷、骨など切除する組織が少ないので、出血量が少なく、術後の回復が早く曲がりがよいところです。また長期の耐久性は悪くはありませんが(10年の耐久性が90%)、次にあげる人工膝関節全置換術と比較して手術手技が若干難しく、人工関節を専門に治療している施設での手術が望ましい方法ですが、当院では適応の患者さんには積極的に行っている低侵襲の手術です。

 内側のみでなく、外側も傷んだ進行した変形性膝関節症の半月板、十字靱帯や骨の棘を切除し靭帯のバランスを合わせて、関節全表面の軟骨や骨を人工膝関節の形に合わせて薄く削り、コバルト・クロム合金とポリエチレンでできた人工関節に関節表面を入れ替える手術です。基本的に全身麻酔と腰から非常に細いチューブを入れて、術後2日間ほどの疼痛コントロールが可能な硬膜外麻酔の併用で行っています。人工膝関節の固定には通常、骨セメントという樹脂(ポリメチルメタクリレート)を使用する場合とセメントを使用せず固定する場合(セメントレス)、あるいはその組み合わせがありますが、一般的にはセメント固定を行います。

 人工膝関節の耐久性は、10年間ゆるみがなく日常生活が過ごせる可能性が95%以上と言われ、長期的にも安定した手術法です。長期成績に関連する因子としては体重であることが分かっています。変形性膝関節症の原因にも肥満は大きく関与しますが、術後も重要ですので、肥満の方は減量を心がけましょう。理想的な運動は水中での運動で、プール中の歩行がお薦めです。

 人工膝関節置換術に伴う合併症で最も避けたい合併症は、術後感染(病原菌により膿んでしまう事)です。これは体内に入れた人工物の周囲は血流が乏しいなどの理由で、いったん感染を起こしてしまうと非常に治りにくく、抗生物質の点滴だけでは治療出来ませんので、最悪の場合は人工関節を抜く必要があります。当院では感染予防策として、手術室に大規模病院にしかないバイオクリーンルームを設置しており、術者も宇宙服のような特別な手術着を着用して術者からも細菌が落ちないようにして、適切な抗生物質の使用などで出来うる限りの予防策をとっています。人工膝関節の術後感染は国内・外のデータで0.5~1%程度と報告されています。

 術後の可動域は術前の膝の硬さにある程度依存しますが、曲がる角度は120度ぐらいが目標になりますので、正座は無理です。術後は創部の周囲に軽くしびれたり、感覚の鈍い部分が残ることがありますが、日常生活には問題ありません。

重篤な合併症として、下肢の静脈内に血のかたまり(血栓)ができる深部静脈血栓症があります。大きな血栓が形成され血液中に流れ出し肺の血管に詰まると、いわゆるエコノミー症候群(肺梗塞症)をおこします。ただ、日本人では命にかかわる程の血栓を起こす人は非常に稀で、予防として出来るだけ早くから足首をしっかり動かしたり、きつめのストッキング(弾性ストッキング)で予防できる事が多いですが、必要に応じて抗凝固剤の注射や内服を術後に行います。

 人工関節置換術は骨髄からの出血がある為、止血しながら手術を行っていてもある程度の出血を伴います。当院では基本的に自己血輸血で手術を行っていますので、手術の約4週前に外来にてご自身の血液を400ml貯めて保存しておき、術後に輸血(貯血式自己血輸血)します。必要に応じて術後の出血を吸引した血液を戻す方法(回収式自己血輸血)も併用していますので、同種血輸血(いわゆる日赤の献血の輸血)はほぼ回避出来ています。

 術後のリハビリは、術翌日から軽く歩行器歩行を行い、翌々日から杖歩行など積極的にリハビリを行い、ほとんどの方が術後3週間以降で杖歩行が安定となり退院できます。若い方で早期の退院を希望されている方であれば、歩行が安定すれば約2週間以内の短期入院や、高齢者などで筋力低下が著しい方でしっかりしたリハビリを希望された場合は、1ヶ月少々の入院で歩行が十分安定した状態で退院など、個々人に合わせたリハビリや入院期間を設定しています。

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